放電ランプの技術
KHDメタルハライドランプ
映画撮影、TV撮影、エンターテイメント用メタルハライドランプは、その用途から自然光に近い色温度や高い演色性、且つ、ランプ使用時間経過によって諸特性が変化しない優れた安定性が求められます。
KHDメタルハライドランプはKLS独自の技術において、これら要求に沿うように設計・製造されており、使用目的・用途に合った光源を提供することが可能です。
演色性の最大化技術
メタルハライドランプは設計・製造技術の進歩によって、演色性は改善してきておりますが、その技術進歩はまだまだ発展途上であり、特に演色性の中でもR9(赤色)が出にくい状況があります。KLSは独自のメタルハライド封入設計と適正な発光管形状設計にて、演色性を最大化させる技術を習得しております。
- KLS製メタルハライドランプと従来メタルハライドランプの演色性比較
諸特性のばらつき低減技術
撮影用途では、個々のランプの色温度、演色性、色味にばらつきがあることで、目的に合った撮影が困難となります。KLSはこの諸特性の個体間ばらつきを最小化する為、因子を特定し、それらばらつきによる諸特性への影響を最小化したランプ設計、及び工程設定を行っております。
- 色温度、演色性、色味評価測定
- 評価灯具
ランプ寿命経時における諸特性の安定化技術
メタルハライドランプでは寿命の経過とともに色温度、色味が変化する問題があります。これは、点灯寿命過程において、電極及び発光管(石英)から放出されるタングステンや不純物の影響による発光管の黒化や失透、または、発光管内部のメタルハライド封入物が物性変化することから発生するものと考えられております。
- メタルハライドランプの色温度寿命維持率特性
- メタルハライドランプの色度座標経時変化
KLSメタルハライドランプは初期特性だけではなく、ランプ点灯時間における寿命劣化も十分に考慮に入れ、寿命末期まで安定した「色温度」「演色性」「色味」が出せるよう設計、製造しております。
- 適正設計後の
メタルハライドランプ色温度寿命維持率特性 - 適正設計後の
メタルハライドランプ色度座標経時変化
アーク安定化技術
メタルハライドランプは放電発光を利用したランプであり、放電アークの揺れ、または発光管内のガス対流の影響により、投影された光はフリッカーやフラッターを起こすことがあります。KLSは発光管形状を独自に設計し、フリッカーやフラッターを最小限に留める設計技術を有しています。
破裂防止技術
ランプの破裂は最大致命欠点であり、あってはならない現象です。KLSは破裂発生リスクを極限に減らすよう、発光管シール形状をシュリンク方式にて製造しております。
- シュリンクシール
封止部保護技術
ランプの不具合として多く見られる現象の一つに、ランプ封止部の故障があります。これは、大気中の酸素とランプ封止部の大気に接触している部分における金属酸化によって引き起こされる現象です。KLSは使用灯体に影響されることなく封止部温度を低下させる独自の技術を全てのメタルハライドランプに導入しています。
KLSiriusランプ(キセノン/キセノン水銀ランプ)
直流型キセノンランプ、キセノン水銀ランプは紫外域から赤外域にわたって連続スペクトルを放射する為、露光装置や外観検査機、各種分析器等さまざまな用途に使用されますが、これら用途は光量の安定性や長寿命、高効率が重要となってきます。
従来は陰極材料にトリエーテッドタングステン(トリタン)を使用しておりましたが、放電アークのふらつきが大きく、また、電極の磨耗も大きい為、光量の安定度は決して満足いくものではありませんでした。 KLSはエミッター剤を電極母材となるタングステン内に含浸した特殊電極を開発し(特許出願)従来使用してきた電極に比べ、より品質を向上させたランプ開発を成功させました。
KLS特殊電極の特徴(従来電極との比較)
- 陰極起点の「ふらつき」が小さい
- アークの「ふらつき」が小さい
- 光強度の「ふらつき」が小さい
- ランプ電圧の変動が少ない
- 高効率
- 陰極先端部分の摩耗が少ない
- 光量の減衰が小さい
- 長寿命
- 従来のトリタン電極とKLS製特殊電極の外観形状
- Xe/Hg200Wランプ寿命維持率特性
- Xe/Hg200Wランプ寿命試験終了後の電極摩耗状態